今回のUAV通信、テーマは「ドローンの機体の不具合。点検や整備の重要性について」です。

中村:ドローンを飛ばす回数が増えると、いろいろなトラブルに合います。何か不具合が起きたら、きちんと原因を追求しないといけません。このビデオの場合は、生徒が練習で使っている機体の一つの「DJI Mini2」の調整がうまくいかなかったんですね。いろいろと試しながら原因を探っています。何が不具合の原因かを見つけるのも、ドローンプロパイロットに必要なスキルです。今、調整し終わりました。次に、機体の状態を見ています。

嶋貫:不具合の種類としてよくあるものは?

中村:よくあるのは「キャリブレーション」のエラーですね。なぜ「キャリブレーション」がエラーを起こすのかを学んでいないと、原因もよく分からないはずです。いろいろな原因があります。なので、どんな原因かを想像します。たぶんああだから、こうしよう。そうやって直していきます。人によっては、エラーが起きるとどうしていいか分からないって方もいますね。

今動画では、ラダーの調整をしています。機体は「DJI Mini2」です。この狭い中でぶん回して、いろいろと動作を確かめています。

嶋貫:ドローンを飛ばせる技術がないと、自分で不具合を確かめられない場合がありますね。

中村:そうですね(笑)。これ、けっこうぎりぎりまで飛ばして試しています。狭いところでこういう飛ばし方は、なかなかしないと思いますが(笑)。

嶋貫:あえてガンガン飛ばしてますね。

中村:ドローンパイロットさんによっては、エラーが出ても、その原因が分からなくて直せず、仕事しないで帰っちゃう人もいます。

不具合が起きたまま飛行すると非常に危険です。何が起こるか分かりません。きちんと直してから飛ばさないと、まずいことになります。

嶋貫:不具合にもいろいろな種類がありますが、原因として設定ミスも多くないですか?

中村:設定ミスが原因も多くありますね。変な設定をしてしまうと、機体は飛ばなくなります。

もし壊れたら修理します。修理といっても、アプリを修理することもありますし、機体を修理することもあります。

あと不具合の原因でよくあるのは、機体の保管の仕方が悪いことです。例えば、「DJI Mini2」などはしまうときバンドをかけられます。このとき、変なバンドのかけ方をするとローターが歪みます。ローターが歪むと、飛ばすときにまっすぐ上がらず、急に手前に来ちゃったり、向こうに行っちゃったり。狭い空間だと、ガーンと壁にぶつかったりします。この間、ある生徒がそうなりました。そこで「ローターが歪んでいる」と言いました。すると「いや歪んでいませんよ」と生徒。「いいからローターを変えてごらん」と変えさせたら、「直りました」だって(笑)。

嶋貫:DJIの機体は性能がいいので、自動で修正してしまうことがあります。それが飛行に影響することがありますよね。

中村:あります。本当にちょっとしたことなんですよね。よくローターをね、傷ついたまま使っている方がいます。その状態、すごい微振動が出ます。最初はいいのですが、使い続けるとビスが緩んだりします。こうした些細なことが事故の原因になります。

ドローンの機体の不具合-点検や整備の重要性2

そのため、フリークスガレージには業務用の専門的なコースがいろいろとあります。例えば、現場で不具合があったときの原因追求や対処法、修理なども学びます。ドローンの操縦を教える学校である以上、そこまできちんと教えないといけません。さもないと、「仕事に行きました」「機体が動きません」「今日、仕事できません」となっちゃいますからね(笑)。

嶋貫:DJIのコンシューマー機と比べて、産業用の汎用機の不具合はどうでしょうか?

中村:DJIの機体は、不具合を機械が判断し、教えてくれます。もちろん教えてくれない場合もあります。ただ、そこそこ教えてくれます。

それが、国産の機体だったり汎用機だと、技術的に難しいです。とくに国産の機体は、まだまだ技術自体が確立されていません。なので、不具合を自分自身で判断できないと、大きな事故につながります。例えば、風の中で飛ばしていて、ローターにガタつきがあるなど、不具合が出たら、風が強いから降ろしてくださいと教えてくるじゃないですか。でも、国産の機体だとそこまで教えてくれません。汎用機を使う場合は、自分で見極められる能力が必要です。そうしないと事故を起こす確率が増えます。

嶋貫:自分で不具合を見つけられる能力、直せる能力を養うことが不可欠ですね。

中村:そうですね。それができないと仕事になりません。もちろん、私たちプロパイロットでも、どうにもならないトラブルはあります。全部直せるわけではありません。しかし、悪いところを判断して直せる能力は持っていないといけません。

不具合を見極める力、直せる力が非常に大切です。ドローンは電気や機械でできています。勉強して、不具合を見極められるようになるといいですね。状態の悪いままで飛行させるのは非常に危険です。いち早く不具合を察知して、直す。そうした力が重要です。そういうところも勉強してみてください。